たま駅長物語。日本一有名な猫の駅長はどうして誕生した?


たま駅長物語。日本一有名な猫の駅長はどうして誕生した?

日本(にほん)に有名(ゆうめい)な猫(ねこ)の駅長(えきちょう)がいることを知(し)っている?和歌山県(わかやまけん)の「和歌山電鐵貴志川線(わかやまでんてつきしかわせん)」貴志駅(きしえき)に、猫のたま駅長が就任(しゅうにん)したのは2007年のこと。それまでは、駅に隣接(りんせつ)する商店(しょうてん)に住(す)む普通(ふつう)の猫だった。たまはなぜ駅長になったのか?たま駅長の誕生(たんじょう)から、天寿(てんじゅ)を全(まっと)うするまでのエピソードを紹介(しょうかい)する。

猫のたまが駅長に就任するまで

猫のたまが駅長に就任するまで

たま駅長の存在(そんざい)を知(し)った人は、「なぜ、猫が駅長に?」と思(おも)うかもしれない。その理由(りゆう)を説明(せつめい)していこう。

たまは駅長になる前(まえ)、貴志駅に隣接する商店の猫小屋(ねこごや)に住(す)んでいた。おっとりとした優(やさ)しい性格(せいかく)から駅(えき)のアイドル的(てき)存在(そんざい)として可愛(かわい)がられ、常連(じょうれん)さんや乗客(じょうきゃく)と遊(あそ)びながらのんびり過(す)ごすのが日課(にっか)だった。

しかし、ある日(ひ)突然(とつぜん)、この猫小屋の立(た)ち退(の)きが命(めい)ぜられる。

赤字(あかじ)続(つづ)きのローカル線だった貴志川線は、地元住民(じもとじゅうみん)の熱心(ねっしん)な活動(かつどう)が行政(ぎょうせい)を動(うご)かし、別(べつ)の事業社(じぎょうしゃ)を公募(こうぼ)し存続(そんぞく)が決定(けってい)した。その過程(かてい)で猫小屋の敷地(しきち)が貴志川町(現・紀の川市)の公有地(こうゆうち)になることになったからだ。

猫小屋(ねこごや)がなくなれば、たまは路頭(ろとう)に迷(まよ)うことになる。困(こま)った商店主(しょうてんぬし)の奥(おく)さんは、ある大胆(だいたん)な行動(こうどう)を取(と)ったのだ。

「大変です。たまが!」その一言に、社長は……

これは、2006年4月1日、和歌山電鐵株式会社の開業記念式典(かいぎょうきねんしきてん)での出来事(できごと)。
式典(しきてん)を終(お)えた社長(しゃちょう)が帰(かえ)ろうとしたとき、商店主(しょうてんぬし)の奥(おく)さんに大声(おおごえ)で呼(よ)び止(と)められた。「社長さん、社長さん、大変です。たまが、たまが!」
話(はなし)を聞(き)いた社長は、たまと会(あ)うことに。
そして、たまと会った際、目(め)が合(あ)った瞬間(しゅんかん)、「私が貴志駅の駅長をやります」と訴(うった)えているように感(かん)じたという。公共(こうきょう)の場(ば)である駅で猫を飼(か)うことはできない……そんな懸念(けねん)を解決(かいけつ)するのが、ただの飼い猫ではなく、駅長になるというアイデアだった。
この提案(ていあん)には、商店主の奥さんも大喜び。晴(は)れてたまは、2007年1月5日、民営鉄道(みんえいてつどう)初の猫の駅長に就任(しゅうにん)し、貴志駅での任務(にんむ)がスタートした。

たま駅長は「駅のアイドル」から「日本一のスーパーキャット」に!

たま駅長は「駅のアイドル」から「日本一のスーパーキャット」に!

それからのたま駅長の活躍(かつやく)は周知(しゅうち)の通(とお)り。たま駅長の就任は瞬(またた)く間(ま)にメディアで話題に。それまで地元(じもと)の人(ひと)しかほとんど利用(りよう)していなかった貴志川線は、日本全国(にほんぜんこく)からの観光客(かんこうきゃく)で溢(あふ)れかえった。駅長の愛(あい)くるしい姿に空前(くうぜん)の猫(ねこ)ブームが到来し、たま駅長の就任(しゅうにん)1年目の経済効果(けいざいこうか)は、なんと年間(ねんかん)11億円(おくえん)とも言(い)われている。

たま駅長は「駅のアイドル」から「日本一のスーパーキャット」に!
たま駅長は「駅のアイドル」から「日本一のスーパーキャット」に!
2021年に改装して大人気の「たま電車ミュージアム号」

さらに、たまのイラストが施(ほどこ)された「たま電車」の運行(うんこう)、たま駅長グッズの販売(はんばい)、猫の顔(かお)の形(かたち)をした「たまミュージアム貴志駅」のオープンなど、たま駅長の宣伝効果(せんでんこうか)は留(とど)まることを知(し)らず、2013年には社長代理(しゃちょうだいり)へとスピード出世(しゅっせ)。小さな駅のアイドルだったたまは、赤字の貴志川線をV字回復(かいふく)させ、駅を救(すく)うスーパーキャットに成長(せいちょう)したのだ。

その噂(うわさ)は海外(かいがい)にも広(ひろ)がり、アジアからの観光客も急増(きゅうぞう)。フランス映画『ネコを探(さが)して』への出演(しゅつえん)オファーまで舞(ま)い込(こ)み、日本を代表する猫女優(ねこじょゆう)にもなった。

たま駅長のお別れに、世界中が悲しみに包まれる

2015年6月22日、たま駅長は急性心不全(きゅうせいしんふぜん)のため、天寿をまっとうした。社葬(しゃそう)にはファン3000人が参列(さんれつ)。多(おお)くの海外メディアにも報(ほう)じられ、世界中(せかいじゅう)から追悼(ついとう)の声(こえ)が寄(よ)せられた。

たまは亡(な)くなった後、名誉永久駅長(めいよえいきゅうえきちょう)に就任(しゅうにん)。貴志駅には「たま神社(じんじゃ)」が建(た)てられた。今でもたまの魂(たましい)は駅長として、乗客たちを見守(みまも)り続(つづ)けている。

ニタマ、よんたまにも会える!和歌山電鐵貴志川線を利用しよう

ニタマ、よんたまにも会える!和歌山電鐵貴志川線を利用しよう
左:たまⅡ世駅長(ニタマ) 右:よんたま

たま駅長の死後(しご)、現在(げんざい)はその部下、たまⅡ世駅長ニタマが貴志駅、よんたまが伊太祈曽駅(いだきそえきで活躍中(かつやくちゅう)。スケジュールを確認し、貴志川線を利用して会いに行こう!のどかな風景(ふうけい)とかわいい猫駅長とのふれあいに、心身共(しんしんとも)にリラックスできるはず。

※よんたまは水曜日と木曜日は貴志駅にて駅長代行業務を行っている

→ 猫のたま駅長で有名!「和歌山電鐵貴志川線」ガイド

和歌山電鐵貴志川線貴志駅インフォメーション

  • 住所:和歌山県紀の川市貴志川町神戸
  • 注意事項:駐車場はありません。


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