和歌山県内の鉄道を経営する岡山電気軌道が先月、「ねこの駅長」として話題を呼んだ初代「たま駅長」の写真集を発売しました。2015年に死んでしまった「たま駅長」を忘れないで…写真集にはそんな願いが込められています。

和歌山県の貴志駅で活躍した「初代たま駅長」のかわいらしい姿がたくさん載った写真集です。

この発売を記念して4月、「たま駅長」が祀られている駅構内の「たま神社」に写真集が奉納されました。写真集を手掛けたのはこの路線を経営する岡山電気軌道です。

(岡山電気軌道 小嶋光信社長(和歌山電鐵社長))「いままで仕事をやってきたときのベストパートナーがですね、実は『たまちゃん』だったんですね」

岡山電気軌道が和歌山電鐵の経営を始めたのは2005年。巨額の赤字で廃線の話が持ち上がっていた路線を、別の会社から引き継ぐ形でした。

この2年後に「ネコの駅長」に任命されたのが「三毛猫のたま」です。元々この駅で飼っていた猫を、そのまま住み続けられるようにしてほしいと、売店の女性からお願いされたことがきっかけでした。

(岡山電気軌道 小嶋光信社長(和歌山電鐵社長))
「売店にいたおばちゃんが私を追いかけてきて、『社長さん!うちのたまちゃんをなんとか駅に住まわして下さい』と絶叫するような声で」

その後、たま駅長の人気は海外にも広がりました。フランスのドキュメンタリーチームも訪れ、2013年度の乗客数は224万人と過去最高を記録します。

しかし、そんな矢先…。

たま駅長は急性心不全で亡くなってしまいました。16歳の時でした。

多くの人に愛されたたま駅長。その思い出を形にしたいと、1年前に広報担当の社員が中心となって始めたのが写真集づくりなのです。

(岡山電気軌道・和歌山電鐵広報担当 山木慶子さん)
「写真が多すぎて…選べない。まだまだ載せられない写真がいっぱいあって」

発売イベントの前日、会社に完成した写真集が届きました。

(岡山電気軌道 小嶋光信社長(和歌山電鐵社長))
「懐かしいね。なんか…昔、一緒に仕事したときを思い出すね」

発売イベントには、多くのファンが詰めかけました。

(写真集を購入した人)
「オーラが違いましたね、ほんまに」
「みんなのもとに帰ってきてくれましたよ、本当に」

(岡山電気軌道・和歌山電鐵広報担当 山木慶子さん)
「たまちゃん、こっちや」

たくさんの思い出が詰まった写真集。天国の「たま駅長」も懐かしんでいるかもしれません。「たま駅長」の写真集は、インターネットでも購入できるということです。